​第1期授業紹介

​高岡熱中寺子屋の授業の様子をご紹介。事務局で要約した内容を載せています。

​このページでは、2016年9月開始の第1期の様子を紹介していきます。

​第2回授業 2016/9/17

​国宝瑞龍寺で開催された授業の様子を少しだけお伝えします。1限目は、建築家の広谷純弘先生で、人や地域とつながることを大事にする建築の仕事のスタイルについての紹介。三重県立熊野古道センターでは60-80年の木材を育てて、規格品寸法の木材を使用する設計に、持続可能な地域の森林経営も視野に入れたお話や、和歌山県での紀の国トレイナートという、ローカル線の各駅をアート作品で彩り、あえてゆっくり列車を走らせながら楽しむというプロジェクト、その中で先生が作ったという積み木でできた移動する茶室のことなど興味深い話が尽きませんでした。

また先生が高岡で関わっている雨晴にオープン予定の道の駅や、錫製品で有名な能作のオープンファクトリーのイメージ写真も見せてもらいました。

さらに質問をした人には和歌山の梅酒をプレゼントするというサプライズも!

2限目の田口慶子先生は、この熱中寺子屋でどんなことを学べるのか?ということをご自身のこれまでのキャリアも踏まえつつ、寺子さん達にも話しかけながら教えてもらいました。自分と異なるバックグラウンドを持つ人と関わり、未知の職種や分野のことを知り、自分が実現していけるアイディアを発見していく機会を得られることが、大きな学びになります。そして働き方を自分で考えて選択し、予想がつかない新しい環境を求めていく。そういう生き方がこれからの社会では価値ある成果につながるというメッセージをいただき、背中を押してもらえた気持ちになれたという寺子もいました。

​第3回授業 2016/10/1

​今回のキーワードは「里山」でした。先生は、富山市ファミリーパーク園長の山本茂行先生と奥会津のマタギ、猪俣昭夫先生のお二人。

動物園と狩猟、それぞれ異なる立場から里山の維持、人と自然とがつながる生態系を守ることに取り組んでいる方の話は「私たちの生活は、いまのままで大丈夫なのか?」「里山と自然の生態系を守るために自分たちは何ができるだろうか?」という事を寺子たちが考える良いきっかけとなりました。

​1限目の山本先生のテーマは絶滅危惧種に指定されたニホンライチョウの人工孵化のためのファミリーパークの取組について。雷鳥の卵を採卵するために乗鞍岳のハイマツの茂みの中で雷鳥の気持ちになって卵を探したこと、人口施設でエサの内容や殺菌消毒を徹底管理した環境の中でヒナを育てていること、ヒナが全滅した上野動物園との育て方の違い、野生化への課題が残っていること等を話していただきました。雷鳥の生息数が減っている明確な原因は不明ですが、サルなどの動物が高山帯にも進出して雷鳥を襲っているという事実があります。この理由が実は里山の荒廃で人の気配が無くなった山に動物がひしめき合い、あぶれたものが山の高い方へ出てきているためだと山本先生は言います。

実はファミリーパークは日本の動物を見せることを目的にした国内初の動物園として昭和59年にスタートしました。日本の里山と自然を守り育てることをコンセプトとして、立山の「神の使い」雷鳥を守ることに挑むファミリーパーの「いま」を知ることで動物園の古いイメージがぶち壊されるような授業内容でした。

​2限目の猪俣先生は福島県の奥会津でマタギとニホンミツバチの養蜂をしている方です。猟銃を携えて単身雪山に分け入り熊やシカと対峙する生き方をしている猪俣さんが山の動物たちの生活をゆっくりと話される姿は、非常に説得力がありました。今、日本中で熊や鹿、猪が増えたことによる獣害が問題になっています。これの原因は里山という自然の中で人の営みが作り出す環境が荒れてしまい、野生動物が人の生活圏のすぐ近くまで生息範囲を広げていることだと猪俣さんは語ります。そしてマタギの役割には、生態系をコントロールすることで人の暮らしを守ることも含まれるのです。かつてはニホンオオカミが捕食者として日本の生態系の頂点に立っていました。しかし彼らが絶滅した今では人間がその役割も担わなくてはならないのですが、1限目の雷鳥の人工孵化の話と実はつながっている問題であり、里山における人間の営みが日本の自然を守るために大切なものだと気づいた寺子もたくさんいらっしゃいました。

​第4回授業 2016/10/15

1限目はフィンランドでプロダクトデザイナーとして活躍する児島宏嘉先生。ヘルシンキから離れた人口8000人の町で自分で薪割りもしながら生活しています。フィンランドの教育から、生活スタイルまで日本と違うところを紹介してもらいました。フィンランドではDIYの精神が根付いており、何か必要なものがあるときに自分でとりあえず作ってみる人が多いそうで、それが様々なデザインを生み出す文化の元になっているのかもしれません。​学校の教育でも廃材の木を先生が集めてクラスで何を作るか決めていきます。昔の日本でも子供が身近にあるもので遊び方を考えていましたが、今の学校の現場と比べると日本とは随分違うスタイルです。

その他に、児島さんがデザインした折りたたみ椅子、人力の空飛ぶ自転車など面白いプロダクトも紹介していただきました。

2限目は金沢大学大学院人間社会環境研究科教授の、平田透先生。現代社会の価値観の変わり目では、モノよりコトが大事になります。モノ自体よりもその背景にある知識や文脈、状況が価値につながる時代になっていきます。利益を追求する企業の考え方も、社会で期待される役割が変わっていくことで変化を求められていきます。コーズ・マーケティングのように企業活動を通しての社会貢献を訴求することで商品の販売を促すという新たな流れも出てきています。そんな中で、平田さんは地域社会にはまだまだ活かしきれていない知識・知恵がたくさんあるので、地元と外部の人との交流を通じてそれらを活用できるようにしなければならない。それによって地域社会がこれから抱える課題に対応していくための取り組みにつなげることが大事だと言います。まさに高岡もこれから取り組んで行くべきテーマだと言えるでしょう。

3限目は、株式会社アイ・オー・データ機器社長の細野昭雄先生。IoTビジネスで新たな価値創造を目指すアイ・オー・データの事業を紹介してもらいました。IoTと言えばクラウドでの一極集中型の情報処理、そしてインターネットで接続されたセンサーやカメラ付きのデバイスが農業や牧畜、道路などインフラ維持など様々なシーンで人間の仕事を助けてくれる時代の到来が想像でき、近い将来は1人あたりに数百個のセンサーが使用される状態になるとも予想されますが、クラウド側での負荷集中を避けるためにデバイス側で処理するエッジコンピューティングが新たな成長分野として注目されています。細野さんは、現在のクラウドのほとんどがグローバル企業によって提供され、私たちのあらゆる行動の情報が海外の企業へとデータとなって送られる現状に課題を感じ、地域の問題にはそれに最適化したIoT技術、柔軟に地域のデータを処理できるローカル型のクラウドが必要だと熱く説きます。グローバル型のクラウドが解決できない地域ごとの課題の解決策となりうるローカルのソフトベンチャーの可能性が右肩上がりのIoT市場の中で高まっていると言えそうです。

​第5回授業 2016/11/5

1限目は株式会社toor代表取締役の高枝佳男先生。算数で、モノの数え方を学びながらテーマを深めていきます。一升マスのお米の粒を、目方を量って数えてみるといくつあるかが分かるのですが、意外と少ない!というのが寺子の反応。数値の示すことが私たちの実感と合わないことが往々にしてあるものです。例えば自分一人がいなくなっても世界全体に大した影響はないだろうと言う人がいますね。

しかし、一が多を動かすことも方法次第に可能になることを先生はシミュレーションで見せてくれました。ポイントは継続的な努力による、指数関数的な成長や、ゆっくり動かすことで大きなうねりに変わる波の力。多数の中で小さな数であっても、周囲を巻き込み、あるいは巻きこまれながら大きな存在になれるということを明快な論理的説明で教えてもらえました。まさに「熱中」とはそれを可能にする習慣や行動力、それを支える思いといえるでしょう。

​2限目は無印良品の製品などのデザインを手がけるプロペラデザイン代表の手槌りか先生。ご自身のデザインの仕事で大事にしていることを教えてもらいました。アイディアの着地点をどこに置いてモノをデザインするのか?使う時か、置いておく時か、どれに着目するかでデザインも変わってきます。またメーカーなどから依頼を受けて仕事を行うことが多い手槌さんですが、ラオスで草木染め技術を活かした製品作りを自ら手がけ、自社の敷地にあるALLという店で販売し、商品の持つバックグラウンドも伝えることで、デザインの持つ価値を高めようとしています。また、予算的に削られやすいデザインですが成果を見せることでデザインの必要性を顧客にも理解してもらうこと。お金を出して良いと思ってもらうことが必要だとも仰っていました。

​3限目は、日清カップヌードルやサントリー伊右衛門のCM監督で有名な中島信也先生。CMで人に何かを伝えるときに大事にしていることを自分の中でどんな風に形作って行ったのかを、ユーモアたっぷりに話してくださり瑞龍寺が笑いに包まれる授業となりました。一緒に仕事をする相手や、CM視聴者に喜んでもらうこと、自分が関わることで、人の気持ちがプラスの方向に動くこと。CMであれば広告主の方にちょっと気持ちが向いて、「あの会社いいな」と思ってもらうことが大切だと中島さんは仰っていました。そのために相手の心を想像する自分の心が必要で、目の前にいなくても「こんな事言ったら相手がどう思うのか?何を感じるのか?」という思いやりを持たないといけなくて、相手の心をプラスに動かすにはそれ抜きではできないそうです。いい意味で相手の顔色を伺い、じっと好みを観察して気にいってもらい、感謝と御礼を忘れないというメッセージが寺子の皆さんにもじっくりと伝わってくるプレゼンでした。

​第6回授業 2016/11/19

1限目は三菱総合研究所先進データ経営事業本部グループリーダーの木田幹久先生。三菱総研では仕事のうち20%の時間を本来の業務以外に活用でき、木田さんはその制度を活用して地方の街に出向き、地域の課題に対するソリューション提案につなげています。先生の話によれば、世界、国、地域が抱える課題とはそれぞれ内容が異なっており、1つ1つの課題に取り組むことはとても複雑なことです。世界全体では50年後には人口100億人に届くかと言われる一方で、日本国内、特に地方では人口減少と高齢化の進行に悩まされています。エネルギー、食料生産や食の安全、医療や健康などの世界の課題解決にむけて日本がこれから貢献していくうえで、各地方での取組が先進的な事例となる可能性を秘めています。日本的な美徳(寺子屋、もったいない、おすそわけ、おさがり、等)を大切にしつつ、IoTやナノテクノロジー、AIなど革新的技術を活用することで、課題先進地帯である地方の町で未来を切り拓いていける、そんなメッセージが込められた授業でした。

​2限目は​刈谷夏子先生。大田区立石川台中学校で国語教師の大村はまに学び、晩年の仕事を手伝い、継承しています。国語とは何を学ぶのか?を説明しにくい科目で、自然と身についている言葉を改めて勉強するというのはどういうことか。そこで刈谷さんは言葉の力、つやを大事にして自分の思考を引っ張ってくれたり、伝えたい思いを言葉に込めることをあきらめたりしないための授業をしてくださいました。AはBです。という表現を色々な言葉でつないでみるという演習を通じて、言葉が手引きとなって思考をひっぱってくれる力があることを、寺子の皆さんは手応えをもって感じていた様子でした。「省エネでラクをすると言葉のちからが弱まる」と刈谷さんはおっしゃいます。微妙なニュアンスが削られた省エネの言葉では、私達の地域が抱える複雑で多様な課題を考えることは到底できない。ふだんの私達の思考や行動に影響を与える言葉そのものを見つめ直すことも現実の問題に取り組むためには大切だと気づかせてくれました。

​第7回授業 2016/12/3

1限目の授業は久米信行先生。地域の観光を盛り上げるための墨田区観光協会の取組やすみだ北斎美術館をこれからどう活用していくかという想いを語ってくださいました。しかし、何と言っても熱中寺子屋にとって重要なメッセージは、高岡の観光盛り上げのために、あなたが今すぐできることは何か?ということでした。

それは、「勝手に観光協会」という活動。手元にあるスマートフォンとSNSのアカウントがあれば始められること。InstagramやFacebookで#高岡, #takaokaとハッシュタグを付けて、自分が「これは良い!」と思う高岡のコンテンツをどんどん発信することです。あなたが地元を、自分の暮らす郷土を愛しているのなら、誰かに頼まれなくても自分が好きな場所やモノ・コト・人を、自分自身の言葉にのせてSNSで紹介しましょう。それが「勝手に観光協会」です。

 

この地道な取組が、地域の観光を本当に盛り上げてくれるものです。

行政や観光協会のPRだけに頼っていてはダメ。今はスマートフォンで発信した情報が世界中に口コミで広がる時代です。ソーシャルメディアを利用して誰でも情報発信できるのだから、地元愛をもって自発的に発信していく人になりましょう。同じ志を持った人が100人集まれば、SNS上でも話題の地域になっていきます。

 

そして高岡の場合、熱中寺子屋メンバーがコアになって実践するべき、と久米先生は言います。(まだ#高岡熱中寺子屋 のハッシュタグはゼロ件!)

 

民間が主体となって、地元の人が自ら紹介するコンテンツのほうが、行政や正規の観光協会が出す情報より、間違いなく面白いです。観光客にとってはブラタモリ的に寄り道をしながら、穴場を訪れて、地元の人たちと交流して、時には思いがけない出会いやサプライズも経験できる。こういう体験につながる情報を出せる地域が、今までの団体旅行に飽きた人たちを惹き付けることができる。そのためには民主導のブランディングでなくてはならないのです。

 

武器はあなたのスマートフォン。モンストやツムツムでヒマつぶしをする機械から、地元を盛り上げるツールになってくれます。人の投稿に「いいね」するだけで終わっていたSNSが、#高岡 とつけて写真を投稿すれば、日本全国や世界の人に地元を紹介するメディアになります。瑞龍寺、高岡大仏などのキーワードの前に半角の#(シャープ)をつけるだけです。誰でも今すぐ実践できることです。高岡の「勝手に観光協会」、熱中寺子屋から広めていきましょう。

​第9回授業 2017/1/7

​第一期最後の授業、一人目は会場である瑞龍寺の住職である四津谷道宏さんです。テーマは日本人の宗教観について。四津谷さんは瑞龍寺の31世住職。曹洞宗の本山の1つ、総持寺で修行を積みました。瑞龍寺には様々な宗派、ライフスタイルの方が拝観されるので、他の宗教のことも理解したうえでお寺の案内をしておられます。

宗教には自然環境に起因する地域性があり、教義の特徴に影響しています。たとえばキリスト教、ユダヤ教、イスラム教は砂漠の多い地域で生まれた宗教です。この世界のすべては神が創造したと信じられ、厳しい自然環境の中で「神との契約」が重視され、契約に従うことで人は神に守られるという信仰が生まれました。一方で仏教やヒンズー教が生まれたアジアは森林など豊かな自然が広がり、太陽や自然崇拝が定着している地域です。自然の中に神々の存在を感じる多神教、輪廻の思想を信じる信仰があります。

一神教では神が善悪を決めるが、仏教のように全てを「因縁果」の関係においては捉える宗教では、善悪も一定ではなく相対的なものだと捉えます。自分が良い事をしたと思っても他者にとっては悪く評価されることもある。自分がしたことを他者に吹聴してしまうと、それは自我に囚われた行いとなる。よく「陰徳を積む」といいますが、世俗のレベルでの評価や自我を超えたところで善き行いを実践できるかが大事なのです。

日本人は宗教心があついのだが、特定の宗教にこだわることを嫌がる傾向にあると四津谷住職は言います。異なる宗教の教えも柔軟に受け入れてきた風土があるため、一神教は定着しなかった。八百万の神々の世界では仏も外来の神の一つとして元々は解釈された。日本人の原始的な信仰は自然崇拝で神道へ発展しましたが、死を「穢れ」として嫌うので、仏教が死後の世界の面倒をみることで2つの宗教がうまく融合できたのです。

人と人との縁をつなぐのが寺の役割だと住職はお考えで、地域の大人と子供がともに互いから学ぶ、昔ながらの寺子屋も瑞龍寺でやってみたいと仰っていました。

​二人目の先生は金沢の老舗料亭「大友楼」主人の大友佐俊さんです。寺子の皆で七草粥をいただき、七草行事の実演を見せていただきました。

七草行事とは元来は平安時代の宮中から伝わる鳥追いの行事でした。春になると、中国から悪い鳥がわたってきて悪い気をもたらすとされ、大きな音を立てて鳥を追い払う習慣がありました。江戸時代になると武家や庶民の間にも伝わります。大友楼では前田家の御膳所で料理方を代々務めたという歴史もあり、今も続けて伝統を守っています。昔は多くの家庭で、新年の6日の夜から家族が交代で土間にすわり、薬草の七草を叩いて音を絶やさぬようにしながら、7日に日付が変わるまで七草をつぶして柔らかくして、朝になると粥に入れて食していた。そうすることで一年の無病息災を願ったのです。

七草行事では七つの草を七つの台所道具で叩きます。大友さんが使っている道具の説明もしてもらいました。しゃもじを半分にした「せっかい」、薪、火鉢、火吹き、すりこぎ、灰をすくう道具、昔の包丁を使用する。昔の足つきのまな板、金沢城から持ち出しで使っている樽などを見せていただきました。

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